2019年11月、出入国在留管理庁は技能実習生の失踪対策を強化することが発表されました。グローバルゲートアジアは、技能実習生失踪の問題に真摯に取り組み、事前の教育から帰国後のサポートまで、綿密な対策を実施しています。
2023年からは実習中も日本語のオンライン授業の提供、また実習生と定期的にコンタクトを取り相談に乗るなど、監理団体様、企業様と連携し、双方にとって良い環境づくりに努めています。
失踪の主な動機としては、「低賃金」が最も多く、他の要因と比較しても圧倒的に多いことが分かっています。また、「実習終了後も働きたい」「指導が厳しい」「労働時間が長い」「暴力を受けた」「帰国を強制された」「保証金や渡航費用の回収」といった要素も挙げられます。私たちは、技能実習生の安心・安全な経験を確保し、受け入れ企業との良好な関係を築きます。
スクリーニング(選抜)
技能実習生候補者は面接前の1週間コース(日本語学習未経験者は1か月コース)に参加し、失踪に関する講義を含む技能実習生としての基礎知識や日本での生活について学びます。その間、実習生たちの受講態度を厳密に観察し、真剣に技能実習に取り組む姿勢を判断します。講義中に不真面目な態度を示した実習生は不合格とするなど、真摯に取り組む実習生のみが受け入れ企業との面接候補者として選抜されます。
カンボジア出国前対策
悪質なブローカーの事例を紹介
技能実習生は1週間コース(日本語学習未経験者は1か月コース)の中で、失踪に関わるブローカーの手口について学びます。悪質なブローカーに騙されて失踪するケースがあるため、実習生にはブローカーの手口を理解させます。事例を紹介しながら、失踪のリスクを強く説明していきます。
失踪に関するディスカッション
企業面接合格後の事前教育期間中に、「失踪に関するディスカッション」を実施しています。実習生たちには「失踪がなぜ発生するのか」「同僚が失踪を考えた場合、どのような対応をするべきか」といったテーマについてディスカッションをします。失踪の原因を深く理解することで、技能実習生は自ら対策を講じる意識を持ち、真剣に技能実習に臨むことができるようになります。
失踪以外の正しい問題解決方を知る
万が一、困難な状況に直面した場合でも、失踪ではなく、企業・組合・保護者や当社に相談することを促しています。失踪ではなく適切な問題解決法を選ぶことが重要であることを伝えています。
私たちは失踪防止に真剣に取り組み、技能実習生と受け入れ企業の両方が幸せになる環境を実現することを目指しています。
仕事のミスマッチ防止
仕事内容の事前説明
受け入れ企業から提供された仕事の写真や動画を使用して、面接候補者に対して仕事内容を詳細に説明しています。実際の業務のイメージを伝えることで、技能実習生が仕事内容について正確に理解ができるようにしています。
給与面に関する指導
面接時には給与面についても重要な話題として取り上げています。技能実習生に対して給与面に妥協せず、納得のいく条件を持つ企業を選ぶように指導しています。給与面での不満は将来の失踪の要因になり得るため、給与に関する納得感を持って仕事に取り組むことの重要性を伝えています。
保護者の理解と協力関係を築く
保護者の同席と説明
開講式および出国直前説明会では、保護者の同席をお願いしています。技能実習生制度や日本の事情について保護者に理解していただくため、詳細な説明を行っています。また、万が一失踪した場合のリスクを保護者にも説明し、報告してもらえるよう関係性を構築しています。
送金についての理解
保護者とのコミュニケーションを通じて、保護者の人間性や家庭環境を把握していきます。特にカンボジアの文化では家族の絆が強く、実習生が日本で稼いだお金を家族の生活のために送金することが一般的です。しかし、家庭環境が悪く保護者が実習生に無理な送金を求めることで、実習生が失踪する可能性があります。当社では保護者との信頼関係を築きながら、失踪のリスクや適切な送金のあり方を説明していきます。
帰国後の不安感の払しょく
「プノンペン経済特区」への訪問で将来性を実感
技能実習生の失踪理由のひとつとして、「帰国したくない」という心情が挙げられます。
この心情は、カンボジア帰国後に日本での経験を生かせる仕事がないのではないか、金銭的に困難になるのではないかという不安から生じるものです。
グローバルゲートアジアでは、技能実習生がカンボジア帰国に対して否定的な気持ちを持たないよう、事前教育期間中にカンボジア初の経済特区である「プノンペン経済特区」を実際に訪れてもらっています。この特区の見学は、将来性に満ちたカンボジアの姿を実際に目にすることで、失踪せずともカンボジアには多くの働き口があることを実感してもらうことを目的としています。
日系職業訓練校で将来像を明確に
技能実習生はプノンペン経済特区にある日系の職業訓練校で一日の外部講習を受けます。この講習では、第三者から日本の法律順守の重要性や失踪が何ももたらさないことを改めて説明してもらうことで、より深い理解を促します。技能実習生の帰国後に対する不安感を払しょくし、日本での実習を真摯に取り組んだ後に待つビジョン・目標を明確にすることで、失踪の防止につなげています。
カンボジア出国後対策
実習期間中のサポート
当社では、技能実習期間中に失踪を防ぐためのサポート体制を整えています。異国での仕事を始める際には、故郷を離れて不安を感じることが一般的です。そこで、技能実習生がストレスを蓄積しないよう、実習期間中のサポートに力を入れています。
配属後の日本語教育
企業や監理組合からの要望にお応えすべく、配属後も日本語力向上のための専任講師による無料オンライン講座を提供しています。
カンボジア語の通訳が常駐
技能実習生が日本での実習中に何か困ったことがあれば、カンボジア語で相談することができます。特に日本語に不安を抱える技能実習生にとっては、入国時や入社日などの説明やオリエンテーションの内容を通訳してもらうことができます。通訳は定期的に巡回し、試験時の会場や緊急時の病院への同行も可能です。これにより、日本語に不安を感じる実習生も安心して日本での生活を送ることができます。
心のケアで失踪連鎖を防止
万が一、技能実習生が失踪してしまった場合、同じ受け入れ先で実習中の他の実習生への心のケアを行うことで、失踪の連鎖を防ぎます。失踪による影響を最小限に抑えるため、実習生同士の支え合いと励ましの文化を育み、チームワークを重視しています。
カンボジア人教師との連携
技能実習生が日本での実習中に孤独を感じないよう、カンボジアにいる日本語担当教師との連絡手段を確保しています。グループメッセンジャーを活用し、実習生が日本での悩みや問題を一人で抱え込まずに相談することができます。カンボジアの教師との連絡手段の確保により、実習生は心強さを感じ、失踪の予防につなげることができます。
帰国後の就職支援
技能実習終了後に帰国した実習生に対して、日本での経験を生かせる仕事を紹介しています。技能実習生は日本での言語や技術を習得するために一生懸命努力します。そのスキルを帰国後にカンボジアで活かす機会を無償で提供することで、帰国に対する不安を解消し、失踪のリスクを軽減しています。帰国後の目標を明確にすることで、実習に前向きに取り組むことができます。これにより、実習生のモチベーションを高め、失踪するリスクを抑えることが可能です。